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長野市の社会福祉法人 森と木

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障害の正しい理解のために

障害の正しい理解のために

 「障害」という言葉に、あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?
 車いすや白杖を思い浮かべる人も多いと思います。肢体不自由で車いす生活をする人もいますし、目が不自由で白杖を使って生活している人もいます。盲導犬などの補助犬を連れている視覚障害のある人を見たことある人も多いのではないでしょうか。私たちの国では390万人以上の人が身体障害者手帳の交付を受けています。およそ国民の3.1%の人たちです。
 知的障害のある人(子どもも含む)は約75万人で、国民の0.6%ぐらい。精神障害のある人は精神科の受診状況から320万人ほどだと言われていますので、国民の2.5%ぐらいの割合です。人口のおよそ6.2%の人が障害者あるいは障害児ということになります。
 車いすように外見からすぐに「あの人は障害がある」と気づく場合もありますが、知的障害の人のようにしばらく行動や様子を見ていて気づく場合もあります。精神障害や発達障害など外見からは分かりづらい障害もあります。心臓疾患などの内部障害に至っては外見からほとんど気づかれることがありません。
 そもそも「障害」とは一体何でしょうか?
 身体障害者の約70%は65歳以上の方で、圧倒的に高齢の方が多くなります。誰もが加齢に伴い身体の機能が衰えてくるからです。「障害」とは身体の機能(働き)に何らかの問題が生じた状態だと言えます。多くの人が、「障害」とは、体が自由なこと、目が見えないこと、耳が聞こえないこと、知恵が遅れていること、精神を患っていることをイメージしているのではないかと思います。

障害は「ある」「ない」ではない

 ちょっと別の角度から見てみましょう。もともと身体の働きには個人差があります。100メートルを10秒で走れる人もいれば、杖をつきながらゆっくり歩く人もいます。目がいい人もいればメガネがないと日常生活に困るような近眼の人もいますし、メガネを掛けても物がはっきり見えない人もいます。地獄耳と言われるほど耳のいい人もいれば、補聴器をつけて生活する人もいます。聖徳太子のように同時に10人の話を聴けるような人もいれば、活字を見ただけで頭が痛くなる人もいます。精密機械時計の修理をできるような人から折り紙の鶴が折れない不器用な人までいろいろです。つまり身体機能や能力にはそもそも個人差があるのです。ということは、ある程度までを「正常=障害がない」といい、ある程度を越えると「障害」と私たちは呼んでいるのです。「障害」とはその「ある程度」を示すものだと言えます。つまり「障害」とは"ある/ない"ではなく"どの程度"なのかということなのです。

障害とは「生活のしづらさ」

 ではその程度とは"何の程度"なのでしょうか。それは"生活するにあたりどの程度"支障があるかという"程度"です。ですから、「障害」は身体機能の衰え(低下)ではなく「生活のしづらさ」ということになります。
 生活のしづらさ(あるいはしやすさ)を決めるものは何でしょうか?身体機能も一つの要素かもしれませんが、他にもたくさんの要素があります。車の運転ができるか、仕事があるか、お金があるか、助け合える友達がいるか、家族関係は良好か、周囲に人に認められ受け入れられているかなどもその人の生活に影響します。その他にも近くに店があるか、公共交通機関の便がいいか、その地域にどんな支援体制や行政の制度が充実しているかなど環境的な要因もその人の生活に影響をします。ここまでくるともうその人の身体の機能が云々ということとは関係ないことが生活に影響することが分かってきます。そして、それよりも何よりその人自身が充実感を感じているかとか、その人自身が幸せかといった心のありようも生活に大きな影響を与えることを私たちは知っています。
 「障害」とは回復が期待できない身体機能の衰えを指すのではなく、「とても生活しづらい状態・状況」のことを言います。ですから障害は克服すべきものではありませんが、周囲の人の見方や支援のあり様によってその状況を改善することができます。
 少し「障害」について新しい景色が見えてきたでしょうか。

 森と木では、障害のある人と地域の皆さんをつなぎ、地域の皆様のご協力をいただきながら、障害のある人が地域の中で役割を担い、一人ひとりが誇りと自信をもって生活を送れるような地域づくりを進めていきたいと考えています。
 日頃の皆様のご協力に感謝しております。

★「障害」についてもっと知りたいという方は、勉強会なども開催しておりますので、ご気軽に森と木法人本部までご連絡ください。